資本論第1部 第18章 時間賃金の解説

資本論第1部 資本の生産過程

第6篇 労賃

第18章 時間賃金

 

国民文庫版では第3巻に該当します。

 

 

 

 

そもそも、賃金つまり労賃自体は、労働力の価値の現象形態である。

 

労働力の価値(交換価値)とは、3つの要素によって決まる。

 

3つの要素とは、

 

⑴労働者自身を養う費用

 

⑵家族を養う費用

 

⑶教育費である。

 

労働力の価値とは、労働力を再生産するために必要な価値量=社会的必要労働時間である。


時間賃金は、賃金を労働の総量と具体的な比例関係で結びつけることによって、


労賃が「労働の価値(≠労働力の価値)」であり、

 

資本家が労働の全体に対して支払っているという逆立ち現象を、

 

いっそう強く裏付ける現象形態である。

 


労働とは労働力の使用価値である。


労働力の価値とは労働力の交換価値である。

 

労働力の使用価値が労働であり、


労働が時間で計量される以上、労働力の売買は、一定の時間ぎめで行われることになる。

 

同時に、労働力の日価値、週価値などは、その「時間賃金」の形態、すなわち日賃金、週賃金の形態に転化する。

 

労働の価格とは何か?


それは以下の式によって導かれる。


労働力の平均的な日価値➗1労働日の時間数


つまり


労働力の平均的な日価値/1労働日の時間数

 

つまり労働の1時間あたりの平均価格が労働の価格の尺度単位となる。


この分数の分子にあたる

 

日賃金自体は労働時間の変化に伴い、変化する場合も、変化しない場合もある。

 


日労働や週労働などの量が与えられていれば、

日賃金や週賃金は労働の価格によって定まり、

労働の価格そのものは、労働力の価値の変動につれて、

または労働力の価格が労働力の価値からずれるのにつれて、変動する。

 

 

反対に、労働の価格が与えられていれば、日賃金や週賃金は日労働や週労働の量によって定まる。

 


以下、色々な仮定を考える。

 

労働の価格が低く設定された場合。


平均賃金を確保するためだけにも、労働日を長くする必要が出てくる。


賃金が少ないので長時間労働への刺激として作用する。

 


労働時間が延長された場合。

 


労働の価格を算出する式の分母が上がったことになり、労働の価格が低下する。


これは2つの異なる事情がある。

 


労働力(労働者)の供給が変わらなくても、労働の供給は増大する。


例えば、今までは2人の労働者を要していたことが、1人の労働者のみで可能になる。

 

すると労働者間の競争が激化し、資本家は更なる長時間、低賃金労働が可能となる。

 


また、不払い労働が増大することで、剰余価値率が増大し、商品の価格が低下する。


ゆえに安価な商品価格が固定化し、

 

過度な労働時間の元での低賃金の不変な基礎になる。

 

最後にマルクスは、

 

資本家の頭の中には剰余労働時間という概念は存在しないと主張する。


なぜなら、彼が日賃金の中に含めて支払っている標準労働時間の中に含まれているからである。


資本家としては正当な賃金を支払っているものと思っているわけである。

 

 

 

資本論の全体像】
第1部 資本の生産過程
第2部 資本の流通過程
第3部 資本主義的生産の総過程 1、2巻の理論がどう現実の中で顕在化するかを記述。