資本論第1部 資本の生産過程 相対的剰余価値とは何か?
相対的剰余価値とは何か?
機械化などにより、生産効率を上げることにより、同じ労働時間で多くの商品の生産が可能になる。
すると、労働者自身を再生産するのに必要な価値量である必要労働時間が低下する。
結果的に、必要労働と剰余労働の割合でいうと、剰余労働の割合が増えることで、剰余価値が上昇するを指す。
以下、構成要素にブレイクダウンして説明していく。
剰余価値とは何か?
剰余価値とは、必要労働を超えて労働が働くことから得られる剰余価値である。
では必要労働とは何か?
必要労働とは以下の3つの要因から成る。
⑴労働者が自分自身が生活していくために必要な価値量(実際的には貨幣量で表示される)。
⑵労働者が家族を養うために必要な価値量。
⑶労働者のスキルアップ、教育費のために必要な価値量。
労働者が自分自身を再生産するために必要な価値量が必要労働である。
資本論では、賃金は、必要労働(その構成要素は上記の3つ)に収斂されていくという設定だ。
ある会社員が月あたり20万円もらっていたとする。
その人が毎月、長時間労働していて、
25万円分に相当する貢献を会社にしていたとしても、
その人の生活を再生産するために必要な賃金の水準が20万円なら、
賃金の水準は20万に収斂していく。
賃金を分配で考えるよりも、
生産サイドに都合の良い水準に収斂していくというのがマルクス経済学の賃金理論だ。
剰余価値とはこの会社員の例で言うと、
本来、25万円分の貢献をしていても、賃金は20万円ほどに収斂する。
剰余価値 = 労働者が生み出した総価値量 ー 必要労働
仮に労働者が生み出した総価値量が25万円とすると、
25万円(総価値) ー 20万円(必要労働) = 5万円(剰余価値)
が資本家が得る剰余価値となる。
剰余価値が生み出される方法は
大きくわけて2通りある。
⑴絶対的剰余価値
と
⑵相対的剰余価値
だ。
⑴絶対的剰余価値とは、
同じ生産効率で、労働者により長時間働いてもらうことにより得られる剰余価値である。
⑵相対的剰余価値とは
生産効率を上げることで、
労働者が購入する日用品、生活必需品の価格が低下することで、必要労働が低下し、剰余価値が生産されることを言う。
先の例でいうと、
25万円(総価値) ー 18万円(必要労働) = 7万円(剰余労働)
つまり、生産効率が上がることにより、日用品の価格が下がり、
その結果、必要労働が低下することで
労働者が自分自身を再生産するコストが低下するので、
賃金水準が低下する。
結果的に、剰余価値が増えるという理屈だ。
これは、現代的に言うと、
百円ショップの普及などにより、
生活費を安くすることが比較的、容易になっていることと符号する。
この事実は、資本家サイドにとってメリットがあるのだ。
労働者への再分配を抑えて、
資本家の利益を最大化しても、
労働者が飢え死にしない状況があると、
賃金水準が上昇しにくいという現象が起こる。
マルクス経済学ではあくまでも、賃金は生産サイドの理屈できまり、
労働者への公平な分配という論理はない。
労働者は資本家の所有物であり、
資本家が自分の所有物をどう扱おうと、
資本家の勝手である。
、、、という、資本主義の冷酷な現実を分析している本が資本論だ。