資本論第1部 第21章 単純再生産の解説

資本論第1部 資本の生産過程

 

第7篇 資本の蓄積過程

 

第21章 単純再生産

 


 

第21章単純再生産の解説。

 

まず資本の蓄積過程の分析を始めるにあたり、マルクスは議論の前提を明示する。

 

蓄積過程の純粋な分析のために、

 

その内的営みを一切覆い隠す現象を無視する必要がある。


第一にここでは資本論第2部の主要テーマである流通過程については議論されない。

 

蓄積の第一の条件は、資本家が商品を売ることである。

 

そして、こうして手に入れた貨幣を再び生産のために投下することである。

 

これは流通過程で起きるわけであるが、ここでは流通過程については議論されない。


資本家は自分の商品がその価値どおり売ることができることを前提にしている。

 


また、資本論第3部の主要テーマである資本の分割、


つまり企業利益(産業資本の収益)、商業利潤、利子、地代へ分割は議論されない。


議論の前提を明確化した後、第21章単純再生産についての議論がスタートする。

 


まず、再生産過程は恒常的(constant)である必要がある。

 

連続的である必要があり、周期的に同じ諸段階を通らなければならない。

 

社会は消費を辞めることができないように生産を辞めることはできない。

 

そして、もし生産が資本主義的形態であれば、再生産も資本主義的形態である。

 


単純再生産とは何か?


同一規模の生産の繰り返しである。


剰余価値は周期的に獲得されながら、それが全部消費される。

 


資本主義的生産様式の再生産過程とは、

 

この経済システムの前提の再生産である。


その前提とは、

 

生産手段を持つ資本家と生産手段を持たない賃金労働者の対立的な階級関係である。


再生産過程とは、


単に商品を生産し、剰余価値を生産するだけでなく、労働者の搾取条件、

つまり資本関係そのものを再生産する。


資本主義的生産とは労働力と労働条件の分離を不断に再現し、

 

労働者の搾取条件を繰り返し準備する。

 

 

 

資本論の全体像】
第1部 資本の生産過程
第2部 資本の流通過程
第3部 資本主義的生産の総過程 1、2巻の理論がどう現実の中で顕在化するか、および利潤の分配についての考察