資本論第1部 第15章 労働力の価格と剰余価値との量的変動の解説
第15章 労働力の価格と剰余価値との量的変動
資本論第1部 資本の生産過程
第5篇 絶対的および相対的剰余価値の生産
第15章 労働力の価格と剰余価値との量的変動
労働力の価格と剰余価値との相対的な大きさは次の3つの事情に制約される。
⑴労働日の長さ
⑵労働の正常な強度
⑶労働の生産力
第1節〜4節でこの3つ要因の変動の組み合わせについて議論が進行する。
第1節 労働日の長さと労働の強度とが不変で(与えられていて)労働の生産力が可変である場合
第2節 労働日と労働生産力とが不変で労働の強度が可変である場合
第3節 労働の生産力と強度とが不変で労働日が可変である場合
第4節 労働の持続と生産力と強度とが同時に変動する場合
この中で注目に値する記述は第4節の後半だろう。
第4節の後半でマルクスは、労働の強度と生産力とが増大して同時に労働日が短縮される場合について分析している。
労働の生産力が増進すれば、必要労働が減少し、労働日は短縮されうる。
しかし、資本主義的生産様式の無政府的な競争体制は
生活手段と労働力の無制限な浪費を生み出す。
結果、不必要な商品やサービスが世の中に増えていき、
その生産および消費のために労働者の時間が使われるため、
必ずしも労働日は減少しない。
仮に、全ての労働が資本家と労働者の垣根を超えて
普遍的に分配されていれば、生産力に増進によって
個人の自由な時間は増えるだろう。
しかし、現実はそうなならない。
資本主義社会は、
資本家のための自由な時間が、
大衆の全生活時間を労働時間化する
ことによって生み出される。
資本主義下では、
労働の生産性と強度が上がっても、
労働者の自由な時間が単純に増加するということにはならない。
【資本論の全体像】
第1部 資本の生産過程
第2部 資本の流通過程
第3部 資本主義的生産の総過程 1、2巻の理論がどう現実の中で顕在化するかを記述。