哲学塾 正義入門 まとめ


「正義」に関する講義の要約


第1回(17年3月)では、普遍的な倫理は存在するか議論した。婚姻前に妊娠してしまったことから名誉殺人に処せられる寸前で助け出されたヨルダンの女性の話から、倫理観の相対性と普遍性を考えた。名誉殺人は必ずし普遍的な悪とは見なされないようだが、侵略戦争やテロ攻撃となると普遍主義的な倫理がしばしば出でくる。グローバル化した社会における普遍的な倫理は可能なのだろうか?


第2回(17年4月)では、隣人とどう付き合うべきか?他者の正義をどう受け止めるかついて議論した。日本文化の特徴と言われる「うち」と「そと」を厳しく分離する傾向は、不可避的に分離を作り出す思想の一例だ。我々はどう他者を理解し、どうすればうまく隣人と付き合うことができるだろうか?


第3回(18年1月)では、法制度の中で保証される正義の限界について考えた。正義とは、対立する他社の考えを排除するような危うさを、どこかに含んでいる。その意味で、正義は慎重な取り扱いが求められる。また過失致死罪をどう判断するかなど、制度には収まり切らない人の心の複雑さについて考えた。最後に正義としての復讐について考えた。復讐は復讐の連鎖を生むが故に、必ずしも救い道にはなり難い。解決の糸口として、自身の自己実現が他の人の自己実現になるようなコミュケーションを模索するべきなのかもしれない。

第4回(18年3月)では、社会で「正しい」と思われていることは本当に正しいのか?という問題について考えた。ナチスドイツのユダヤ人大量虐殺に指揮した当時のドイツ官僚のアイヒマンの事例について考えた。アイヒマン自身は、自分の無実を主張し、市民としての義務、上司の命令だけでなく法律にも従っていたと主張。いわゆる「凡庸な悪」の問題について考えた。

 

オススメ関連文献